佐久穂町の農地の売却相談を頂きました。

先日、県外のお客様から、相続で譲り受けた佐久地域の農地について、売却できないかどうかのご相談を頂きました。

農地売買は、法律の縛りが非常にきつく、手続きも煩雑で、「市街化区域」以外は、簡単に売買ができないというのが実情です。

そもそも農地は、簡単に売れる土地と、簡単に売れない土地とあります。「農地法」という法律があり、行政側としては、できるだけ農地は農地のままずっと使ってほしい(食料を安定的に供給するため)という大義名分があり、市町村や県の許可が無いと、第三者に売ったり貸したりできないんですよね。また、家を建てたいといっても、農家さんや農家の分家さん、農業用施設、集落住民のための商店、医療施設など、農業集落の振興や公益性の高い建物ならOKですが、非農家のサラリーマンや移住者が、安価な農地を買って好きな建物を建てる、なんていうことは、ほとんど不可能なんですよね。(新たに農業者になればOKですが、それであっても、4000㎡以上など、自宅以外に、大規模な農地を別途用意することが必須となります。)

したがって、誰でも農地を買うことは現実的には大変しく、需給バランスのずれから、価格もかなり安くなっています。(場所にもよりますが、坪5千円とか1万円とか、かなりの廉価です、)

市街化区域では、届出をするだけで簡単に売買ができるので、資産価値としては高く、造成済み宅地の8割位で購入できます。市街化区域内の農地オーナーは、資産的には大変ラッキーな方だと、つくづく思います。

今回ご相談を受けた土地は、農用地(厳しく農地利用を求められる土地)ではなかったのですが、第1種農地(今後もなるべく農地として使ってほしい土地)に指定されていて、基本的には、第三者が簡単に購入して自由に建物を建てることは不可、太陽光発電も不可、隣地の方も買い増しも、必要最小限しか不可、ということで、「ほとんど農用地と変わらないじゃない!」ということで、お客様には、長野市ではなく、近所の不動産屋さんを回ってみるか、地元のJAさんを通じて、農地あっせんの依頼をしたほうが良いのではと、アドバイス致しました。

しかし、相続を受けた方は県外の方で、自ら農業を続けることはほとんど不可能です。かといって、放っておいたら草ぼうぼうの耕作放棄地となるだけで、地域の景観も悪くします。

今後、このように、相続で田舎の農地を譲り受けたがどうしよう?というご相談が沢山出てくるでしょう。もし、簡単に第三者に売ったり貸したりできない、というのであれば、地元の農業委員会やJAが、地元の中~大規模農家さんへの農地あっせん(農地仲介)を、補助金を使ってでも、もっと積極的にやったほうが良いのではないかと思います。

農地法でがんじがらめの田舎の農地は、既存の制度のままでは耕作放棄地が増えるばかりで、明るい未来が全く描けないですよ。従来みたいに農地利用に固執せず、(環境を乱さない程度に)多目的利用を可とするなど、ガラりと制度を変えるべきではないでしょうか。